家田荘子 〜極道の妻たち.com〜
 
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2泊3日つなぎ歩き遍路ショート日記

 

2泊3日つなぎ歩き遍路ショート日記

<<1巡目


家田荘子のホームページ
撮影 國貞誠

 

就業者でもできる2泊3日歩きつなぎ遍路
<2巡目>

1巡目はとにかく歩くことに必死でした。だから、2巡目は、もう少しゆっくり行こう・・・と思い、「自分の行」のために巡ることにしたのですが・・・!!!

 

2巡目 1回目 08'1月9日〜11日
1番霊山寺の山門前
1番霊山寺の山門前
08'1月9日 これからまた1400キロの遍路が始まります。こんどこそ、あちこち見物したり、ゆっくりお遍路したいと思ったのですが・・・

2008年1月9日(水)小春日和のステキな天気。

遍路宿やホテルが、ちょうどいい場所にない場合、たとえば、まだ午後3時頃なのに、次の旅館が、20キロ先しかなければ、そこで終了して泊まるか、あと4時間近く、夜まで歩いて、次の旅館まで行くしかないのです。

へんろ道しるべ
3番金泉寺に行く途中のにある「へんろ道しるべ」と、昔からある丁石。 1月9日

今回もそうでした。7番十楽寺をすぎると、約13キロ宿がなく、7番辺りで泊まるか、まっ暗になる前までに10番切幡寺から1.8キロ先の旅館に行って泊まるか・・・。結局、私は後の方を選びました。そして歩き出したら・・・「行」となると、私はいつも一生懸命、無我夢中。それしか頭になくなってしまって・・・。
8番熊谷寺を打った頃、日没になる予定でしたが、10番まで歩けてしまいました。1番から7時間20分。けっこう飛ばしていたようです。

今回、新しく納経帳と金剛杖を高野山で用意しました。つい先月まで、雨や手あかでくすんだ金剛杖を誇らしげに持っていたのに、汚れのない金剛杖は、新人っぽくって、ちょっと抵抗がありました。やがて、私はこの金剛杖とも、強い信頼関係や、愛情を結んで行くことでしょう。

10番切幡寺
10番切幡寺
徳島県保健施設「健祥会」の皆さんと。
皆さん、しっかり般若心経を上げてらっしゃいました。

10番門前の神仏具店浅野町総本店で、また遊んでから旅館へ向かいました。好きな布を選んで金剛杖袋を作って下さる。私は、3巡目のことも考え、イエローゴールド地と紫地と、2種の袋をオーダーしました。旅館八幡は、満願の時も泊まりましたが、おうどんが自慢。今回は、うどんすきがメイン料理で、ほーんとに美味でした。

吉野川を渡る川島橋吉野川を渡る川島橋
幅わずか3メートルの橋なのに、一方通行でなく、しかも人も歩くのです。
1月10日

 
 

2日目、1月10日(木)寒いけれど晴れ

モンベルのフリースのキャップやネックウォーマーや手袋が大活躍。軽くて暖かくて、便利で丈夫。ほんとに助かります。今回は雪が降りそうだったので、雪歩き用のゴアテックスジャケットを着ました。ゴアテックスジャケットも、季節にあわせて、替えています。モンベルの店員さんが、とても詳しく教えて下さるので、まさに適材適所のゴアテックスを着ることができます。今日は、11番藤井寺まで7.5キロ歩いてから、「遍路ころがし」といわれる13キロの3つ山越えで、12番焼山寺へ行き、さらに日没の17時までに7.6キロを歩いて宿へ行かないと、山の中、まっ暗になってしまいます。

10番切幡寺
風景発心の地
11番藤井寺から第12番焼山寺までの「遍路ころがし」の途中にある「風景発心の地」からの風景。
たしかに絶景です。 1月10日

この遍路ころがしは、藤井寺に「健脚5時間、一般が6時間」といった意味のことが書いてあります。

前回は、休憩を入れて4時間23分と、かなり早かったのですが、今回は3時間50分と、休憩24分。もっと早く着いてしまいました。やっぱり私の足は、山だと喜んでくれるようです。途中、29巡目という歩き遍路おじさんに会いました。

「すごーい」と言ったら「暇だもん」。サラリと笑う所がかっこいい。(私は7回巡りたいけど・・・)山行や遍路で酷使している足が、持ってくれるでしょうか。私が死んだ時、棺桶の中に何体、金剛杖(つまりお大師様)が一緒に入ってくれるでしょうか。

 

3日目、1月11日(金)くもり、昼から雨。とても寒い

前回一面の雪だった所を13番大日寺に向かって歩きます。道の駅「温泉の里 神山」をすぎると、約18キロ、トイレがありません。寒いだけに、トイレの心配がついてまわりました。トイレのない所だからといって、トイレをその辺ですませては、絶対にいけません。トイレ。これも「行」なのです。

天気予報通り、お昼から雨が降り出し、どんどん激しくなって行きました。

17番井戸寺から、6.8キロ先の徳島駅まで歩いたのですが、ずぶ濡れ。いつもなら「雨もまた楽し」と思えるのですが、今回は、とても雨が強くて、あまりに寒く、歩くスピードがいつもより遅かったように思います。

私は雨女。やっぱり雨に出くわしました。自然の中に、命ある生き者の1つとして、溶け込ませてもらう。それは、まさに弘法大師が若かりし頃された“お行”なのです。

17番井戸寺17番井戸寺
雨はどんどん激しくなるばかり。
サーファー用の手袋さえもびしょ濡れに。
1月11日
 
今回 歩いた距離 95.5Km


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2巡目 2回目 08'2月20日〜22日
大根畑
19番立江寺に行く途中、へんな大根畑がありました。
2月20日から、2月22日まで、2巡目のつなぎ歩き遍路に行って来ました。2月の遍路というのは、雪が多いため、今回、初めてです。でも、3日間、お天気に恵まれ、寒かったけれども、蛇や虫、日焼けや雪などの心配がなく、2月遍路の大ファンになりました。
今回は、徳島駅前から、室戸方面に伸びている最後の駅
かんのうら
甲浦駅まで歩きました。

2008年2月20日

私はいつも綿密な遍路スケジュールを立てて、遍路に臨むのですが、よくやるのが、時間の計算まちがい。たとえば、次のお寺まで、90分かかるというのに、計画表には、前のお寺を10:10分出発で次のお寺着が10:40だったり・・・。今回もやってしまい、30分少なく計算してたのです!その間違いに、歩き始めてから2時間も経って気がついて・・・。30分というと、約3キロ。20番鶴林寺に登れなかったら、全部のスケジュールが狂ってしまいます。。。だから、急いだ急いだ・・・。

結局、予定より早いスケジュールで廻ってしまいました・・。私は、やっぱり山道は早いみたいです。
18番恩山寺には、大きな大きな修行大師がいらっしゃって、あまりにかっこいいので、「お大師様、ごめんなさい!」と謝ってから、シャッターを押させていただきました。

19番立江寺に向かう途中、仕掛花火の市山煙火商会を眺めながら歩いていたら、白い軽自動車が止まり、大おじさんが、「お接待させてもらおう・・・」と、ホットボックスを私の前にさし出されました。中には、缶お茶と缶コーヒーが4ヶずつ・・・。ありがたく熱いお茶をいただきました。歩き遍路の場合は、道中トイレがあまりなく、トイレの心配をしないといけないので、冬に冷たい飲み物をいただくと困ってしまう時があります。寒くて冷たい日だけに熱いお茶のお接待が嬉しくて、しばらく顔にあてて暖めながら歩きました。

19番立江寺にも、大きな大きな修行大師がおられました。1人の方が奉納されたのです。凄い!奉納者の名前の書かれた部分に、思わず手を合わせていました。

生比奈町のひな祭りの仕方には、びっくりしました。各お店の前に雛壇を置き、外にお雛様が飾られているのです。車屋さんなど、中古車の中やトラックの荷台にお雛様が・・・。穏やかで優しい町でした。
20番鶴林寺まで、あと3キロという所で、犬連れの大おじさんに出逢いました。20番に法事を頼みに行くという地元の方です。最初、おりこうの犬・ハッピィと3人で、山道を歩いていたのですが、途中で大おじさんが、「後から行くわ・・・」。ハッピィも、ご主人様について、後から登ってきました。

地元の「ハッピィ」と。   20番鶴林寺への遍路
登山口のここからずっと登り坂です。
地元の「ハッピィ」と。
写真を撮るのにハッピィは快く、道しるべの横に座ってくれました。すごい!!
横瀬観光タクシーさんには、毎度助けられています。前回は、ひざが痛くて痛くて、鶴林寺から帰路のバス停まで下りられず、電話をしましたら、快く山を登って迎えに来てくれました。今回は、鶴林寺から、向こうのふもとまで下りたため、山道を延々と越えて、迎えに来てくれました。そうして宿の「金子や」さんへ。翌朝も前日歩いた「向こうのふもと」まで、運転してもらいました。
 

2日目、2月21日

21番太龍寺
標高600mの21番太龍寺境内。 ロープウェイを使うと10分で登れてしまうそうです。

最高気温10℃というとても寒い日、私は今日もモンベルのフリースのキャップと手袋とネックウォーマー、ナイキのドライフィット(シャツ)にユニクロの白フリースを着てました。

21番太龍寺までの山道は、前後左右すべて杉の木!ユリとガーベラの花粉アレルギーで、杉のアレルギーはなかったはずですが、さすがに鼻がズルズル。鼻のかみ歩きは、なんだか面白かったです。

21番太龍寺へは、ロープウェイでも行けます。お寺でロープウェイで来た人々と逢う度、「歩いて登ったの?」と、ほめてくれたのは、嬉しかったです。
21番から22番平等寺まで、あまり人に会わず、孤独です。大根峠もあります。山道に階段を作って下さっているのですが、段差が大きく、背の小っちゃい私は、けっこう大変でした。

22番平等寺   22番平等寺の本堂のあるところから、下を見ると、こんなに怖いです。
22番から23番薬王寺までは、22.4キロあります。途中、ゴミを捨てられないよう、道の端に柵が作ってあったり、不法投棄禁止の看板が目立ちます。冷蔵庫や、空缶、車までも捨ててありますが、遍路中、よく見かけるのは、マクドナルドの袋と容器です。車の窓から捨てるようです。大切な道を汚すなんて・・・その神経が信じられません。
今回、国道55号線でなく、途中から、海の見える県道25号由岐コースで行ってみました。国道の方が、19.7キロと、約3キロ短いのですが、山にうんざりしてたので、(海が見たい)と、県道へ・・・。ところが、海が見えていたのは、ほんの少し。ほとんどがこの道も山道でした。でも、田井の浦駅のホームの目の前に、美しい海が広がっていたのは、絶景でした。
23番薬王寺への道。   23番薬王寺への道。
ごみや不法投棄だらけなのでこんな看板が、至る所にあります。
マクドナルドのゴミは、あちこちで見かけます。大切な道です、車の中から捨てないで下さい。
23番薬王寺は、厄払いで有名なお寺。男厄坂42段、女厄坂33段の石段裏には、薬師本願経が一段一段に掘ってあるのです。だから、厄年の人が落としていく一円玉が、各段にいくつもありました。宿泊先「ホテル白い燈台」の窓には、海が迫っていました。
 

3日目、2月22日

さぬきうどんの食べられるローソン
店内で、さぬきうどんの食べられるローソンです。かけうどん\190
私は、おでんを食べました。

午後から雨の予定が、晴天でした。でも寒かった。
23番からは、トンネルだらけです。奥潟トンネルに始まり、日和佐、山河内、牟岐、八坂、内妻、福良、さばせ、大砂、大田、638メートルの水床トンネル・・・。
トンネルって気持ち悪く怖いですが、ここまでは、わりと安全で明るいトンネルです。長い水床トンネルのライトを替える工事をして下さってました。これで、もっとトンネル内が明るくなります。
今回やっと、鯖大師に寄れました。
馬頭観音様は、ゴールドに薄緑の衣装で、ため息が出るほどステキでした。大感激!

浅川駅をすぎるとcafe「ふくなか」があります。前、「お茶でも」と声をかけていただきましたが、急いでいたので、とても寄りたかったけどお断りしました。それがとても申しわけなくて、車遍路の時、おわびに行きました。自費で遍路休憩所まで作って下さっているママは、とてもお遍路さん思いです。今回また寄らせていただきました。でも、お留守だったので置き手紙を置いて来たら、なんと車で先廻りしてサプライズ!
ママの笑顔は、元気を下さいます。
ホテル・リビエラししくい」は、この辺では、あまりにステキなホテルです。前回、どーしてもレストランに入りたくなり、食事をしたら、遅くなって大ダッシュ。今回は通過ですが、いつか泊まってみたいです。目の前は、サーファーにとって、ゴージャスな波が打ち寄せる美しい海です。

内妻のサーフボードの店「TSSC」のかわいい女性に撮ってもらいました。   内妻のサーフボードの店「TSSC」のかわいい女性に撮ってもらいました。
遍路シールに従ったら、甲浦港見学をさせられてしまいました。遍路道は、遠廻りで、ちょっとまいりました。まっすぐここは、55号を行った方が近いです。
                       ししくい
今回は甲浦坂トンネルまで。また、宍喰タクシーのお兄さんに迎えに来てもらいました。そうして、宍喰駅へ。つなぎ歩き遍路にタクシーの運転手さんの協力は、欠かせません。毎回、遠くても近くても、ムリ言っても、ニコニコ送迎して下さるドライバーの皆さん、ありがとうございます。
鯖大師   やっと今回、鯖大師へ行けました。
美しい馬頭観音様には思わず、感嘆の声が・・・
 
今回 歩いた距離 107.95Km


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2巡目 3回目 08'3月18日〜20日

2008年3月18日

室戸市へ向う55号線
室戸市へ向う55号線
海沿いをえんえんと行きます。

撮影:貝原 弘次さん

夜の内に徳島に入っておき、朝5:41の各停始発で2時間38分、宍喰に向かいました。朝はすごく寒かったのですが、電車を下りると、南国の美しい陽光が、海にふり注いでいました。まずは、前回行った甲浦坂トンネルから35.6キロ先、空海が修行をされた御蔵洞(みくろど) へ。それから、17:00までに、24番最御崎寺(ほつみさきじ) に入らなくては。今回は、18日と19日。カメラマンの貝原弘次さんが、車で同行されました。3月に入っただけあって、歩き遍路がふえました。普段スニーカーで歩く時は、少々早いだけなのですが、なぜかいつもの遍路靴を履くと、スピードが出るのです。「早いねぇ」いつも、お遍路さんに、そう声をかけられるのですが、本当に早いので、「はい」としか、言いようがありません。

夫婦岩
夫婦岩は絶景です。

撮影:貝原 弘次さん

以前、行かれなかった「夫婦岩」に今回寄りました。壮大な岩々を見上げ、「すごい・・・!」ため息をもらしていました。道中、トイレがほとんどなく、ここのトイレを使わせてもらうしかないのですが、電気がつかず、カギもかけられず・・・。でも花が置いてありました。地元の方の心配りに心がやさしくなって行きます。
でっかーい青年大師像が早く見たくて見たくて、どんどん足が早まって行きます。あの白い青年大師像が見えたら、御蔵洞はすぐです。右手の山の上方ばかり見つめながら、歩き続けます。
15時2分に、やっと見えた!青年大師が。思わず声を上げてしまいました。この瞬間をどんなに待っていたことか・・・。

青年大師像
やっと、来ました!青年大師像。 ココまで来れば、24番は近い。 長い長い道のりでした。

それから13分で、御蔵洞につきました。空海が求聞持(ぐもんじ) 法を習得された場所です。ろうそくの火がなければ、まっ暗な中、よく修行されたものです。でも、ふり返ると、海と空だけが見えます。この美しさに感動し、「空海」と自ら名づけたといわれています。が、明日が雨のせいか、私が行った時は、もう空は暗くなりかけていました。
予定通り、閉門前に24番最御崎寺につきました。遍路道は、疲れた足にこたえ、ゆっくりゆっくり登って行きました。寺内は、3月になって増えたバス遍路の皆さんで、混み合ってました。空海の七不思議と言われる鍾石があり、安山岩で叩くと本当に石でなく鐘の音がするのです。

御蔵洞
大師が修行された御蔵洞

24番への遍路道
24番への遍路道です。椿の花道です。

165メートルの高さから1.7キロ、室戸の海を見下ろしながら下りて行くと、国道55号線添いに宿泊先「うまめの木」が。

うまめの木
おすすめの民宿「うまめの木

明日の悪天候を告げるような強風が、体を冷やして行きました。うまめ樫が庭に植えてある民宿「うまめの木」。ここは、美味な料理がたくさん。皆さんが、明るくて優しい。さらに部屋も寝具もきれいで、何より一人お風呂に入る度、お湯をかえて下さるのが最高に嬉しかった。1つしかない民宿のお風呂で、男性客ばかりだった時、最後に入ったらお湯にいろんな毛が一面に浮いていて、わけのわからないゴミも混ざり、ゾッとして、足を暖めたいのに、浴槽の中に入れなかったことがありました。「うまめの木」では、遍路おやじが11時頃まで酔っ払って、ごきげんのようでした。

 

3月19日

強風の音で度々、起こされました。天気予報は、雨100%!強風と豪雨で恐ろしい音が、朝の宿の中にも聞こえて来ます。紫のゴアテックスの上下を着、完全防雨の姿で強風に向かって歩き続けます。雨もすごいので、メモ帳を出した瞬間から、ビショ濡れになり、メモも満足に執れません。ひたすら歩くのみです。これも行なのです。と判っていても、やっぱり強風、豪雨は苦しい・・・。

25番津照寺
25番津照寺
完全防雨でもびしょ濡れです。 本堂へいく階段途中。

撮影:貝原 弘次さん

25番津照寺(しんしょうじ) は、本堂まで急な石段が続きます。本来なら、景色を楽しみながら登るところ、大雨で、それどころでなく、すべらないよう必死でした。津照寺近くの室戸スーパーで、車遍路の時、ドラやきを食べました。その場で作ってくれるのですが、栗入り、おもち入り、などいろいろあり、美味です。今回は早すぎて開いてませんでした。
雨に打たれながら、26番へ向かいます。雨で滑るので、遍路道を行くのに迷いましたが、600メートルだけと判り、車道でなく遍路坂道を登って行きました。わりと安全な道でした。
26番金剛頂寺(こんごうちょうじ) では、修行大師が片膝をついてらっしゃいます。とても珍しいお姿です。大師堂の前に「がん封じの椿」があり、ボコボコとこぶだらけの幹でした。がんが発見されたばかりの女性のことを思い、(頑張って・・・)と、しばし立ちつくしていました。

27番神峯寺へ行く遍路道入口
27番神峯寺へ行く遍路道入口。
大雨のため、一般道を通ることにしました。

お寺の人に27番方面に向う「遍路坂道を下っても大丈夫ですか?」と尋ねたら、即座に「来た道を戻った方が、今日は大雨なので、距離は少し増えますけど、いいですよ」と言われ、従うことにしました。3キロ増えてしまう。。。ということは、今日45.1キロ歩かなくてはいけないことに・・・。大雨の中、大丈夫かなぁ・・・。
吉良町の人々は、いつ来ても、本当に明るく優しく活気があります。この町へ来ると、元気をいただけます。15時ごろ、田野町のスリーエフで、シュガーマーガリンのパンを食べました。めちゃめちゃ美味しいと、コンビニの前でかぶりついてました。おじさんが、「隣(道の駅)に行くと、お茶があるよ」と教えてくれました。お茶代を節約して、パンだけ食べてると思われたようです。大雨ですし、トイレに行きたくないから水分を摂らないだけのことなんですが・・・。
27番神峯寺(こうのみねじ) の2キロ前から急坂が始まります。一般車道でもかなり急です。強風で足が前に出せない時もあり、結局、壁のように急な遍路道を行かず、ずっと一般車道を登りました。しんどいしんどい思いをするご褒美か、山門の仁王様がすごいステキなイケメンでした。仁王様足元の石は、なんと私の大好きな迷彩色!カッコイイ!しかも、大師堂のお大師様も、すごくかっこいいのです。オレンジの着物がとてもお似合いで、「はぁ・・」とため息をもらしながら、大師堂の窓にかぶりつきで見つめていました。納経所でビニールの財布を出したら、中の紙幣まで、ビショ濡れでした。

 

3月20日

琴ヶ浜
琴ヶ浜には、大好きなサボテンがいっぱい!

まだ雨が止みません。風は、昨日よりもっと強く、台風のように、空がうなっています。道行く車は容赦なく、私の全身に水をかけて行きます。トラックは、ゆっくり走ってくれても水浴び状態になり、あきらめられますが、軽自動車が近づいてきて、思いっきり水をかけて行くのには、本当にむかつきます。行なのに、むかついていたらいけないと自分にいいきかせつつも、今日は、ずっと向い風の強風で、これも私をむかつかせます。前へ進めないのです。雨が上がったのは、午前9時。
安芸漁港から、ずっと防波堤歩道(自転車道)を歩きます。橋では、強風のため何度も足をすくわれそうになりましたが、こんなに強風が絶えることなく続くなんて・・・。出羽三山の月山(がっさん) では強風で体が浮きましたが、平地でこんな凄い風は初めてです。車の飛ばす音と、強風のうなり音とで、やがて耳が変になり、幻聴が聞こえて来ました。途中、土佐ロイヤルホテルをすぎたあたりの自転車道で、トンネルが2つあります。水がしたたり落ちる古くて怖〜い、暗いトンネルで、気持ち悪く、2つ目のトンネルは「絶対イヤ!」と国道に登り、逃げました。もう二度と、このトンネルはイヤです。ローソンで、シュガーマーガリンのパンを見つけ、外で食べました。?? 昨日、めちゃおいしかったのに、今日は普通・・・。大雨の中だから超美味だったのでしょうか?遍路中は、体の欲しがる物を飲食するようにしています。が、強風は、食欲も味覚も奪ってしまったようです。
香南市は、町中に小学生が作った「笑顔が一番、挨拶一番」などの挨拶奨励の用語柱が立っています。はたして、町の人々皆、元気に挨拶をして下さいます。なんてステキな町・・・

28番大日寺
28番大日寺

28番大日寺は、龍馬博物館をすぎてすぐです。車やバス遍路の人で、とてもにぎわっていました。物部川(ものべがわ) を渡る戸板島橋は、あまりにひどい風で、体を斜めに飛ばされながら途中、気を失いそうになるほどの突風に吹かれたりして、必死に渡りました。
今回は、その戸板島橋まで。目を風で相当、痛めたらしく、土佐山田駅のキ オ スクに行ったら、字やモノがぼやけて、焦点が定まらなくなっていました。
三日間で 123.5 キロ。今回は厳しい天候の中での行を与えられました。 4 月は、どんな行になることやら・・・。でも、当分、大雨と強風は、ごちそうさまです。

 
今回 歩いた距離 123.5Km


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2巡目 4回目 08'4月2日〜4日

へんろ標識
27番国分寺へ向かう途中のへんろ標識
これぐらい大きいと見逃さずことなく助かります。こういう標識に歩き遍路は支えられているのです。

前の週は、全国的に天気が荒れてくれていたため、雨女の家田も、3日間、雨から逃れることができました。前回から10日しか間がなかったので、ちょっと足の方が心配でしたが、今回は、一日に山2つはあっても、歩行距離が40キロを超える日がなく、私の足にとっては、少し楽な3日間でした。4月に入って、遍路シーズンになり、車遍路、バス遍路でお寺は、大にぎわいでした。

2008年4月2日

前回、風に飛ばされながら歩いた戸板島橋からのスタート。雨もなく、強風もなく、雪もない日が、どんなに嬉しいかを痛感しました。29番国分寺に入って、びっくり!
庭じゅうに、しだれ桜が!カメラで一生懸命撮影をしていた地元の方に頼んで、撮ってもらいました。4月に遍路をしたことがなかったのですがで、行く先、行く先、桜づくしとは・・・。

一部の桜
一部の桜しかお見せ出来ず残念です。(本堂と大師堂の間)
撮影 土佐山田町 橋田 栄雄さん
29番 国分寺
29番国分寺
山門から本堂への道。この背中の荷物が重いのです。
撮影 土佐山田町 橋田 栄雄さん
29番を出て、やっぱり道に迷いました。前回も迷って、今回違う道にしたら、やっぱり迷って・・・。
迷う道は、やっぱり迷うようです。
30番善楽(ぜんらく)では、自転車遍路や、車遍路、歩き遍路など男性がいっぱい集まってお喋りしていました。男性遍路は、こうしたひと時や、へんろ宿での酒盛りで、よく盛り上がっています。その中に、モンベルのジャケットを着た自転車遍路男性が1人。モンベルを着こなしている姿をみると、(おぬし玄人だな)と、仲間意識が生まれます。

31番竹林寺
31番竹林寺> 名の通り竹のお山です。右の茶店でチャイをいただけます。

今回31番竹林(ちくりん)への遍路山道は、さほど苦しくなく、あっという間でした。でも、遍路山道を抜けた所に、今回もまだ、遍路道しるべがなく、前回同様また迷い、植物園の中を大遠廻りしました。お寺では、売店隣の喫茶で、チャイを飲めるのですが、観光バス遍路でいっぱいで入れず残念。観光バス遍路で、ベンチも下の売店も、どこもかしこもにぎわい、休めなかった私は、そのまま32番禅師峰(ぜんじぶ)へ。おかげで早く着きました。雨が降っていないので、遍路山道もヒョイヒョイです。
 
32番禅師峰寺
32番禅師峰寺> 
昨日の32番禅師峰寺の下からスタートです。後ろがへんろ山道。

4月3日

渡し船 種間駅
渡し船 種間駅
家田の後ろが船です。スペースは見えているだけしかありません。渡船料はタダ。 

前回、浦戸大橋を渡りましたが、今回は昔の遍路のように「渡し舟」に乗ってみることにしました。昨日、2つのお寺で見かけたオーストラリア男性遍路と、渡し舟種崎駅で、また一緒になりました。賃料はただ。5分でついちゃいました。
船を下りて、まっすぐ行くと33番雪蹊(せいけい)です。
珍しく山門がなく、おばあちゃんと孫が入口で遊んでいました。優しい光景です。「きれいなお姉ちゃんが来たよ」とおばあちゃんに言われ、私はニコニコ。
34番種間(たねま)までは、ビニールハウスや田畑の間を行きます。高知はもう、どこでも田植えをしていて、田んぼが農家の人でにぎやかです。種間寺の本堂はとても広く、中をスズメが一羽、飛び廻ってました。お寺の入口でアイスクリンを売っていて、ベンチでペロリ。何もかも忘れそうな心地よいひとときでした。
このあたりから、アレルギーが出て、鼻がズーズーになって来ました。ティッシュはいっぱい持ってきたのですが、あまりにひどく、土佐市に入ってから、ドラッグストアで保湿ティッシュを買いました。
モスバーガーがあったので、ふだん昼食を摂らないのに、ポテトとミルクティで都会気分を味わいました。ここから35番清滝(きよたき)までしっかり道を覚えておかないと・・・。帰りも同じ道を辿るのですが、前回、大迷い。私の場合、迷った道は、何度も迷うようなので、今回は行く道をしっかり頭に刻みました。

35番 清滝寺
35番 清滝寺
春の景色は、どこへ行ってもステキです。

35番清滝寺仁王門までの階段前の2枚の鉄板に、前もその前も滑りそうになりましたが、今回もまた。要注意です。
その仁王門の天井には、蚊竜図が書かれていて、目を奪われます。本堂の右には琴平神社があり、琴平山に登拝させていただいている私は嬉しくて、高らかに祝詞(のりと)を上げさせてもらいました。ここのトイレは、水洗ではないけれど、トイレットペーパーが、いつも柄つきで、ちょっと嬉しい。
帰り道、途中で遍路シールを見つけられず、やっぱり迷いました!
39号線に出ると、ビニールハウスが多く、何を育てているのかな?とのぞいたら、なんとユリ!
私はユリの花粉アレルギーです。もう遅い、「ひぇ!!」思わず鼻を押さえ、早足で坂を登り・・・。鼻はもっとズルズルに。
大師の泉公園にある塚地休憩所は、ボランティアの方々が掃除をして下さっています。ゴミも捨てられるよう、ゴミ箱まで設置して下さり、本当に感謝です。
塚地トンネルを超えると、いよいよ宇佐大橋。高いところにあるため、歩道橋が怖くて1人で渡れない私は、何度も気が遠くなりそうに・・・。中学の時、体操部で、平均台から空中回転で下りる時、頭を強殴した私は、以来、高くて細いものの上を歩くことが苦手になりました。

36番青龍(しょうりゅう)には、行者用のすばらしい滝があります。前回、訪れた時も、心をひかれ、今回、もっともっとひかれました。ここで水行をさせていただきたい・・・。次に来られるのは、また歩き遍路なので、多分 2年先・・・。何度も何度も振り返りながら、お寺を後にしました。お寺のすぐ前にある「花虫八放」さんで紫の数珠を注文しました。宿泊先の三陽荘は2度目、高級へんろ宿です。部屋はきれいで清潔。とても居心地のいいホテルです。

36番 青龍寺
36番 青龍寺
本堂から写してもらう。
下はずっと階段です。
この下に納経所と滝があります。

三陽荘
三陽荘
おすすめの高級へんろ宿
 

4月4日

大嶋海岸の良心市
大嶋海岸の良心市。
道中いたる所に良心市が。でも、重くなるので、いつも「見るだけ」です。

今日は憂鬱です。長―い間、トイレがありません。それと気味の悪い浦ノ内トンネルや、966メートルの焼坂トンネルがあります。
車の多い47号線を行くか、宇佐大橋まで打ち戻って23号線を行くか・・・。出発前まで迷いましたが、結局前回同様、打ち戻りコースに。30分ほど歩くと、貝堀渡船所にトイレがあるのですが、ここから先、約3時間(人によっては4時間)トイレがありません。その上、古いトンネルだらけ。無気味なうえに、トンネル内は歩道の段がなく、車が突っ込んでくるように走ります。

いちご
お気に入りの喫茶店 ”いちご” 
大間水門前

住友大阪セメントをすぎ、大間水門まで来ると、かわいい喫茶店「いちご」があります。前回大雨の時、入りました。私は遍路中、なぜか、おにぎりが苦手になり、乾いている物、トーストが好きになるのですが、疲れた体に、ジャムや梨のコンポートは、しみ入りました。
時間が余って来たので、道の駅「かわうその駅すさき」で5本指のソックスを買ったりして遊んでいました。子供たちが「ハロー」と後ろから声をかけて来ました。呼ばれてるのは私!サングラスに白髪(しろぱつ)、キャップだと、よく外国人とまちがえられてしまうのです。
「ダイジョウブ、ニホンゴワカリマス」と言ってあげました。
角谷トンネル、宇津トンネル、安和(あわ)トンネルと超えると、安和です。駅のホームでは、桜が満開。足摺岬の37番岩本寺まで28キロ。ここからすぐに焼坂峠コース、焼坂トンネルコースとの分かれ道です。私は今回もトンネルコースです。でも、966mもあるのに、歩道に段がありません。四国は高齢ドライバーがとても多いようです。このトンネルは対面走行なので、高齢者には、対面のライトが眩しいらしく、どんどん脇に寄って歩道スレスレを走るようです。狭いのでトラックもギリギリ。一度「ひぃー!」と声を上げ、トンネルの壁にへばりつきました。(あぁ、怖かった)。ドライバーの皆さん、トンネル内は、やさしく走ってくださいね。

今回は、土佐久礼駅まで。
次回は、いよいよ初日に37番岩本寺、足摺岬です。
次回は連日40〜45キロ。今から、ちょっとドキドキものです。

 

さて、あの青龍寺の滝ですが・・・。
遍路から戻って10日後、なんと、青龍寺のある土佐市から講演のお話をいただきました。滝の不動明王様が、2年待たなくていいよと、導いて下さったのでしょう。おかげで私は、この12月。念願の滝行を青龍寺でさせていただけることに・・・!

 
今回 歩いた距離 103.1Km


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2巡目 5回目 08'5月28日〜30日

今回は松山の道後温泉で、高野山大学愛媛支部同窓会が開かれ、私は講演の方で参加させていただいたので、松山から約5時間の電車に乗り、土佐久礼駅までやってきました。同窓会で88ヵ寺のご住職の皆さんにお会いでき、遍路について、いろいろなお話しも聞けました。ちなみに私は、卒論計画書がパスできず、また今年も大学院を修了できなくなってしまいました。

2008年5月28日(水)

雨90%。今にも降りそうな空で、土佐久礼(とさくれ)駅に私が着くが早いか、雨の方が早いか、競争でした。12時32分に土佐久礼駅を出発し、すぐ七子(ななこ)まで6キロの国道坂道に入ります。どうしても閉門の5時までに37番岩本寺に入りたい。雨も、七子峠につくまでは、なんとか持ってほしい・・・と思いながら歩いていたら、6キロの坂道を1時間で歩いちゃいました。峠に着いて15分後、まるで待っていてくれたように、急に雨が激しく降り出しました。そして、梅雨入り。でも変です。私がゴアテックスのパンツをはくと雨が止み、脱ぐと雨が降り出すのです。それが3回。龍神様のいたずらでしょうか?
前回は、ここを走った、ここで蝶が力なく飛んでいた・・・など、道を歩いていると、くっきりとよみがえります。
37番岩本寺は、五佛尊がご本尊様です。天上は、皆さんの書いた絵で埋め尽くされていて、首が痛くなるまで、上を眺めていました。大師堂では、お大師様の坐像が。。。凜とした、すごいかっこいいお大師様で、見た瞬間に、涙がふき出してしまいました。お寺の近くの果物屋さんが、閉まってしまったのですが、ビワがどうしても食べたくて、電話を入れ開けてもらいました。宿の食事の中に、髪の毛が入っていて、ほとんど食べられず、ビワが役立ちました。遍路中、食べ物に髪の毛は、ほんとに度々あります。遍路と思うと、「髪の毛が・・・」と言えなくて、空腹ですごすこと度々です。その夜、滝のような大雨が一晩中降っていました。

37番岩本寺37番岩本寺
この日は雨が強く降ったり止んだりで、写真を撮ることがほとんどできませんでした。もう、雨で服装もぐちゃぐちゃ。
5月29日(木)

朝起きたら、高知県に大雨警報、雷警報が出ていました。ところが6:08に宿を出ると止んでいるのです。ゴアテックスのJKは脱ぎましたが、車にハネを飛ばされるので、パンツの方は、脱げません。四万十川まで41キロと看板が。これが0になると今日の宿泊先の近くです。看板が励みになります。前回はずっと国道でしたが、今回、市野瀬遍路橋を通ることにしました。窪川町環境美化センターをすぎたら、(嘘でしょ?)恐怖の遍路標識。道がない!雨水の流れが川になっていて、これが道らしい。まるで沢歩き。しかも、くもの巣と竹藪の中を・・・。蛇よけ獣よけのため、普段はずしている鈴を金剛杖につけました。あぁ、怖かった。
9:21,伊予喜から遍路標識に従い、56号線の下に行くと、どんどん山に近づきます。何かイヤだと思いつつ行くと、階段を登った先に熊井トンネル。全身総毛立ち!真っ暗な昔のトンネル。中に立っている霊が1人、2人、、、とても歩けない。走って行っても、やっぱり恐怖!行き帰り1キロ余分に歩きましたが、結局、国道に戻りました。民宿「月白(つきしろ)」で一緒になった高野山大学卒業生の男性に聞いたら、水が漏れていて、男でも1人なら怖いと言ってました。

民宿月白
民宿月白」は、このようにふつうのおうちです。

正午、白浜海岸を歩く頃には、気温30°のすごい日陽しになっていました。でも道は水たまりだらけ。奈良交通のバスが2台とも、私にハネが飛ばないよう、ゆっくり、ゆっくり私の横を通過して下さいました。この心配り!これこそ、最高のお接待です。

海ガメが産卵する砂浜
ビオスおおがた道の駅をすぎ、大方の砂浜すぐ横を歩く。5〜8月は、海ガメが産卵する砂浜です。

13:52,ビオスおおがた道の駅で今日初めての食事。といってもマンゴーシャーベットと「巡り茶」だけのチャンポンですが、これでかなりの疲労から、少し元気になりました。ところが14:30をすぎると急に空が暗くなって来て・・・。忘れてました、梅雨って事を。西大方駅をすぎると、入ってみたい喫茶店が2件あるのですが、それもおあずけ。また雨との競争です。大好きな四万十川にようやく出た時は、まだ4時半なのに、かなり暗くなってました。

海ガメが産卵する砂浜西大方駅前で写真を撮って下さったおばちゃんに「偉いねぇ」と言われ嬉しかった・・・。
今にも雨が降りそうに・・・。
 

5月30日(金)

四万十川添いの道
やっと四万十川添いの道に出ました。今日は、約45キロの長距離でした。

「夕方から雨」という天気予報なのに朝から雨。四万十川も雨で暗く、景色が沈んでいました。今日は1620メートルの伊豆田トンネルがあります。いつもは車の風圧とライトで悩まされるトンネルですが、車が来ないと暗くなってしまうこのトンネルは、車大歓迎です。あまりに単調で長いトンネル道ゆえ、途中フラッと来そうになるため、斜め下前方を見て歩くと楽です。「水車」にはトイレがあるありがたい場所です。雨は、かなり強く降っています。トイレの横の休憩所で寝てた女性遍路さんが、「この先もっと降るからね」とアドバイス。39番に行く人は、38番から同じ道を辿ってくるので、すれちがう人の多くが、先輩として、ふるまいます。(私も新人遍路に見えるのかな?)そんなことを考えながら、でもいつも新人のフリで「はい!」と答えるようにしています。

大岐マリン
大岐マリンで、ロイヤルミルクティをいただくことを励みに5時間朝食抜きで歩いて来ました。

10:30、大岐マリンは、以前泊まった所。今回、どうしてもロイヤルミルクティが飲みたくて立ち寄りました。やっぱり美味。サラダもほんと美味しいし、器がまたおしゃれで、窓の外は海。まるで湘南です。
今日はもう一つ、気の抜けない所があります。以布利遍路橋です。以布利の海岸のゴミだめのような砂浜を歩き、洞窟みたいなトコの隣から、いきなり遍路山道が始まるのです。草で道がかなり狭くなっているし、蛇が好きそうな竹藪の中の川になっている道を歩かされるし、怖い。でも、かなりのショートカットです。ここをすぎたら、足摺岬はすぐそこ。ところが、一時止んでいた雨が、あと2キロという所で急に降り出して・・・。でも、ゴアテックスを着る場所もなく、濡れながら歩きました。

以布利の海岸以布利遍路橋に行くため、汚い海岸を歩く。
満潮なので歩ける幅は写真に写っているくらいしかない。海水が足にかかりました。

 

38番金剛福寺
<38番金剛福寺>
お寺についた途端、雨が止むなんて・・・。いつ来ても、本当に「気」のきれいなステキな札所です。

15:11。38番金剛福寺に着いた途端、雨は止みました。今回は龍神様に遊ばれちゃったような3日間でした。38番の行者堂内の役行者様は、すごいパワーがおありで、いつも大感激です。前に立ったまま、離れられなくなります。

次回はこの38番からスタート。「水車」まで同じ道を辿ります。来月は梅雨のさなかです。雨女の私をまた大雨が手ぐすね引いて待っていそうです。


窪津漁港上の絶景ベンチ窪津漁港上の絶景ベンチ。漁港へ下ると、トイレがあります。
 
今回 歩いた距離 107.9Km


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2巡目 6回目 08'6月24日〜26日

2008年6月24日(火)

先月の遍路では、梅雨が始まり、今回は、梅雨のまっ最中。雨女の家田は大雨を覚悟で出かけました。
今回は、38番金剛福寺からのスタートです。出発すると同時に雨が強く降ったり、パラパラになったり・・・。30分ほど歩いたら、なんと巨大ミミズが足元を横断中!「わっ!」。私は、怖い時、無意識のうちに「わっ!」って叫ぶのだと判りました。

足摺岬から足摺岬からまもなく、桃ノ木谷橋から海を見下ろします。
今日は、こういう天気なので、山の中は、それでなくても不気味。さらに巨大ミミズを見たので、もう、以布利遍路橋は、やめよう・・・と思いました。と、津呂(つろ)公民館近くの下水の蓋の穴の中に、むりやり入ろうとする巨大蛇が!「わっ!!」なんと太った蛇・・・。もう絶対、遍路橋をやめて、27号線へ行く!
ところが、へんろ道表示を無視して、まっすぐ道を行ったら、「浦尻」を通り、土佐清水港へついてしまった!(これ!戻っちゃったじゃん!)今までの歩いた苦労が全て泡に・・・。その上、以布利第1、第2トンネルも通ることになり、つまり私はUの字分を余分に歩いたのです。歩くべき所は、Uの字の上の空いてる部分だけでよかったのに、約4キロのムダでした。以布利遍路橋がイヤでも、とにかく右のへんろ道へ入って下さい。その車一台しか通れない道が27号線。それを横切っている山道が、へんろ橋なのです。まっすぐ行くと、とんでもないことに。
赤碓
赤碓(あかばい)という所で、地元のおばちゃんに撮ってもらいました。人気のないトコなので、後ろから声をかけたら、びっくりされちゃいました。
 

16:54,やっと27号線に戻り、大岐(おおき)まであと2.1キロってトコで、巨大毛虫!「わっ!」もうヤダー!ニョロニョロばかり。

中筋川ダム
<中筋川ダム>
別名螢湖といいます。湖の山側に螢のようなものが浮いていますが、うまく撮れませんでした。

お遍路宿というのも、いろいろあり、個性があります。貸しタオルのないトコ、浴衣のないトコ、シーツや枕カバーを替えてくれてないトコ、髪の毛のいっぱいついた毛布を敷布にするトコ、シャンプーのないトコ、髪の毛のついたカスのような石けんしかないトコ、浴室が黒カビだらけのトコ、ご飯がくさいトコ・・・。個性を知るため、できるだけ違うところに毎回泊まらせてもらうようにしています。遍路ですから、全て受け入れることを教えられます。もちろん、うれしいことも、いっぱいあります。

 
6月25日(水)朝から大雨。

私は、以前、真念庵(しんねんあん)経由で、三原(みはら) へ行ったと信じ切っていました。21号線コースは、行ったことがないと思い、「木々のトンネルがあって雨よけになるわよ」と言われた時、「よし、初コースを行こう」と、21号線へ行く決心をしました。
下ノ加江(しものかえ)を歩いていたら、右側の田んぼから左側の民家の方へ飛び跳ねながら追いかけっこしてる2匹の大きな蛇が!「わっ!!!」。舗装された一般道路を蛇が飛んでる!?蛇って這うんじゃないの!?
21号線の木々のトンネルは、一瞬のように短く、(なんだ・・)と思いつつ、私はまだ思い出さなかったのです。とにかく人がいません。車は、1時間で3台のみ。淋しいし、「落石注意」の看板が、あちこちに。細い道のまん中は、コケで滑り、雨はザーザー。心細いよう、怖いよう・・・。2時間半後、下長谷集落に着き、竹内商店の前を。(あれ?ここ、通った!)
地図を見る。真念庵コースでは、こられない場所にいました。つまり、私が、過去に通った道は、この21号線だったんだ!全然気がつきませんでした。ここからは、記憶がよみがえり、見なくても次に現れる景色が頭にうかんできました。
天満宮で、トイレをまた、お借りしました。いつもきれいなトイレにして下さり、街の皆さんありがとうございます。
天満宮の神様にお礼をこめて祝詞(のりと)と般若心経を献上させていただきました。靴は雨で、ぐしょ濡れで重く、くつ下もビタビタ。足がふやけて、膨らんでいる靴に指が当たり、爪が痛い・・・。午後になると疲労が、雨と同じようにたまって来ました。
平川町黒川を歩いていたら、おばあちゃんに「お遍路さぁん!」と呼び止められました。「延光寺さんに1回、連れてってもらったことがあるけど、私の代わりに、このお賽銭持ってって・・・。頑張って」と100円を渡されました。もう目が熱くなって・・・。(私にお役目、下さるの?)嬉しくて、嬉しくて・・・。頑張って歩いて、一分でも早く、お賽銭をおばあちゃんの代役で届けなきゃ・・・。はがれそうな爪の痛さと、疲れた体の辛さに、パワーを与えて下さいました。私は、また頑張って歩ける!遍路に対して、最高の言葉でした。ありがとう!おばあちゃん。思い出す度、歩きながら、何度も涙がこぼれそうになりました。しかし・・・。

39番延光寺
<39番延光寺>
延光寺 この時だけ雨が止んでいたのですが、出発したらすぐに大雨が。

田んぼの横に、また、茶色の蛇が!「わっ!!」。蛇だって、びっくりしてるだろうけど、私も怖くて、超びっくりしてるのよ。今回は蛇だらけです。
14:39 39番延光寺(えんこうじ)に着きました。目がゴールドの仁王様です。まず、おばあちゃんのお賽銭を納めます。実は、納経所に入った途端、想像だにしなかった、見たくないものを見せられてしまい、(35キロの大雨の中歩いて来て、これかよ!)と、大失望して早々にお寺を出ました。
米屋(よねや)旅館までの5キロも、雨が激しく降っていました。全身ずぶ濡れ。この旅館は、すごく古いですが、お掃除が行き届いていて、とても、きれい!部屋にバス トイレがある和室で、食事も1つ1つが美味です。ご夫婦で大切に大切に宿を守って来られたのでしょう。疲れは十分癒されましたが、足の左右の小指の爪が浮いて、プカプカになってしまいました。

米屋旅館<米屋旅館>
いたれりつくせりの米屋旅館 左端はおかみさん。 かろうじて雨が止んでいました。

6月26日(木)

夜じゅう降っていた雨が止みました。蛇に出会ってばかりいるので、遍路道でなく、56号線を今日も行きました。下水蓋の歩道は固くて歩きにくいですが、そこしか歩道がありません。爪の激痛に輪をかけた痛みが加わります。城辺町(じょうへんちょう)に入るまでなんとか、がんばって来ましたが、爪が痛くて痛くて・・・。もうダメ・・・。40番近くのスーパーフジでビーサンを買いました。小指がつかないようにするには、ビーサンしかありません。裏が薄くて、足の裏が痛かったけど、足が涼しく、快適でした。

40番観自在寺
<40番観自在寺>
ビーサンで訪れた40番観自在寺 行だと思えば痛みもがまんできるのですが・・・。

11:34 40番観自在寺(かんじざいじ)へ。「石栄かえる」という大きな石のかえるさんや、本堂隣の大きな観自在菩薩様など・・・、このお寺には、見とれてしまう所が多いです。大師堂の襖が少しだけ開いているのですが、そこに前立(まえだ)ちの小さなお大師様がいらして、堂内を見させて下さらないのです。背伸びしたり、左から近づいたり、右からのぞいて見たり・・・でも、前立ちのお大師様が、ジロリと私を見てじゃまをして・・・。ついに、笑ってしまいました。足が痛く、疲れきっていた私の体に、お大師様は、笑いを与えて下さいました。
本堂で、納経の女性に、「なぜ、家田さんが遍路を?と言われたので、「高野山大学院生で・・・」と答えたら、「いいわねぇ、大学生は。時間があって」」と言われて(はぁ・・・!?)絶句。返す言葉がありませんでした。

オレンジロード
<オレンジロード>
南予地区の皆さんが、ボランティアで道路美化活動をして下さっています。へんろの心をいつも癒して下さいます。

庭掃除をされていたお寺の女性に麦茶をお接待していただき、ビーサンで出発です。靴を履こうとしたのですが、10メートルも痛くて歩けませんでした。夏のビーサンは気持ちいいですが、砂利がビーサンと足の指の間に度々入り、やっかいです。2時間ほど歩き、室手(むろて)海岸まで来ましたが、足の裏があまりに痛く、ビーサンの裏を見たら、底がすり減ってなくなってました。どうりで・・・。足の親指と人差し指の間もめくれて痛いし。。。結局、ビーサンで10.5キロを歩き、今日はムリしないよう内海トンネルまで行かず、DE・愛・21で終わりにしました。ここでいつもお借りするトイレですが、とてもきれいです。

このビーサンで10.5キロ歩きました。前方は室手海岸。このビーサンで10.5キロ歩きました。前方は室手海岸。
家に帰ったら、やはり爪がはがれかけて変色してました。どうやら爪が死んだようです。でも、前みたいに親指の爪と、大きさが違うからか、それとも痛み慣れしたのか、大騒ぎしなくなりました。ゲンタシン軟膏をつけたら回復が早かったです。
遍路から6日後。35キロの大雨行を与えて下さった三原村から、講演のお仕事をいただきました。三原村の神様が「もう一度来てもいいよ、歓迎するよ」と言って下さっているようで。。。嬉しかったです。爪を痛めたかいがありました。来月は、真夏の遍路です。その2日前に石鎚神社の山行もありますし、早く爪が回復してくれますように・・・。
雨に四方八方を遮ぎられた孤独な3日間のお行でした。
 
今回 歩いた距離 96.6Km
 

 

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『四国八十八ヵ所つなぎ遍路』
(ベストセラーズ社)

2014年 1月15日発売!

 
四国八十八ヶ所  

『四国八十八ヵ所つなぎ遍路』
ベストセラーズ社

 

『四国八十八ヵ所つなぎ遍路』
(KKベストセラーズ)

 
『四国八十八ヵ所つなぎ遍路』  

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 つなぎ遍路』
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車遍路2回、歩き遍路3回、
5年がかりの遍路本がようやく出版されました!


四国八十八ヵ寺をつないで歩けば、
就業中のあなたも満願出来る!

四国遍路1400キロの道すべてが頭に入っている家田が心を込めて書いた遍路本です。
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お遍路とは、足を一歩踏み出してその小さな一歩を積み重ねていくこと。
それが、人生を前向きに生きることにつながるのです。

『結婚後の恋愛』

 

春と秋は、観光バス遍路で大にぎわいです。
運転手さんや、ツアコンの方が、お客様分の納経帳を何十冊と一度に出されるため、歩き遍路は長い時間、納経順番を待たないといけません。1分で80〜100m歩けるので、10分待つだけで1キロ近く遅れを取ります。時間がずれてしまうので、私はあえて観光バス遍路の少ない梅雨と夏と冬を選んで廻っています。だからいつも雨、雪、猛暑なのです。

お行について、もっと知りたい方はリヨン社の『女霊』をお読み下さい。
書店さんにない場合が多いですが、書店さんはしごをなさらないで、注文されたら、すぐにお手元に来ます。
また、近畿36不動霊場に興味のある方は
https://fudo36.net/
家田が各36霊場の解説を添えています。

 
コピーライト家田荘子